「戸籍はどれくらい取得すればよいのだろう。」
「役所に何度も行く必要があるのだろうか。」
相続手続きを進めるうえで、被相続人の出生から死亡までの戸籍を集める作業は避けて通れません。
今回は、相続手続きの際にでできるだけ早く戸籍を集めたい方に向けて、
- 戸籍を集める際の基本的な流れ
- 最短で戸籍を集めるための具体的なポイント
- 注意しておきたい落とし穴やよくある失敗例
について解説していきます。
相続手続きに必要な戸籍の基本知識
相続手続きをスムーズに進めるためには、被相続人の出生から死亡までの戸籍を正確に集めることが重要です。戸籍は相続人の範囲や相続分を確定する根拠となるため、漏れなく揃えなければ手続きが進みません。そして、ひとくちに戸籍といっても、実は、現在戸籍、除籍、改製原戸籍など複数の種類があり、それぞれ役割が異なります。
相続手続きで必要な戸籍謄本とは
相続手続きで必要な戸籍謄本とは、被相続人が生まれてから亡くなるまでの全ての戸籍のことです。これらは「出生から死亡までの戸籍」と呼ばれ、相続人を確定するために不可欠です。戸籍が一つでも抜けていると、相続人の全員が正しく把握できず、手続きがやり直しになることもあります。戸籍謄本は、現在のものだけでなく、改製原戸籍や除籍謄本も含まれる場合があります。相続手続きの際には、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本が必ず必要です。
戸籍の種類とその役割
戸籍には主に「戸籍謄本」「除籍謄本」「改製原戸籍」という3種類があり、それぞれ相続手続きで異なる役割を持ちます。
戸籍謄本は現在の家族関係を示すもので、除籍謄本は家族全員が戸籍から抜けて戸籍自体が消滅した記録です。改製原戸籍は法改正などで戸籍の形式が変わった際の古い記録となります。ではどの種類の戸籍を取得すればよいのでしょうか。回答としては、被相続人の出生から死亡までを連続性をもって証するために必要なすべての戸籍が必要となります。そのため、古い戸籍を要する場合には、過去に本籍地があった役場にも問い合わせる必要があります。
被相続人の戸籍を効率的に集める手順
被相続人の出生から死亡までの戸籍を効率的に集めるには、正しい手順と事前準備が重要です。特に相続手続きは期限が決まっているケースも多く、戸籍取得の遅れが手続き全体の遅延につながるため、できるだけスムーズに進めたいものです。
戸籍は本籍地ごとに保管されており、転籍や結婚などで本籍が複数箇所に分かれることが多いと言えます。取得の方法としては、最初に死亡時点の戸籍を取得し、そこから過去の本籍地を順にたどることで、必要な戸籍を漏れなく、最終的には最短ルートで集めることが可能になるといえるでしょう。
最初に取得すべき戸籍謄本
被相続人の戸籍を最短で集めるには、まず「現在の戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)」を取得することが最も効率的です。なぜなら、現在の戸籍には被相続人の本籍地や直近の戸籍情報が記載されており、ここから過去の戸籍の所在をたどる手がかりが得られるためです。
引っ越しや結婚、改製(法律の改正による書式の変更)などで、戸籍は何度も移動や変更がされている場合も多いといえます。最初に現在の戸籍を取得すれば、そこに記載された前の本籍地をもとに順番に古い戸籍をたどることができるため、無駄なく最短で戸籍を集めることが可能です。最初の戸籍謄本取得、これがスムーズな戸籍集めの第一歩です。
戸籍謄本の請求が可能な人
被相続人の出生から死亡までの戸籍を集めるにあたって、実は誰でもその手続を行えるわけでではありません。原則として、戸籍謄本の請求ができるのは、その戸籍に記載されている本人や配偶者、直系の親族(父母・子・孫など)です。
被相続人の子や親であれば問題なく請求できますが、兄弟姉妹や甥姪などは、被相続人の死亡によって相続人となった場合でも、請求理由や関係性を証明する書類が必要になることがあります。被相続人との関係を示すため、役場の窓口や郵送で戸籍を請求する際には、身分証明書や相続関係を示す資料の準備も必要です。
戸籍請求に必要な書類と手数料
戸籍謄本を請求する際には、請求者の本人確認書類(運転免許証やマイナンバーカードなどのコピー)が不可欠です。加えて、申請書にはどの戸籍が必要なのかを示すことも必要です。
郵送での請求の場合は、返信用封筒と切手、手数料も忘れずに同封する必要があります。役所のホームページで様式を確認し、必要事項を事前にチェックしておけば安心です。手数料は戸籍謄本1通につき450円が一般的ですが、市区町村によって異なるため、この点についても役所のホームページなどで事前に調べておくことが重要です。参考:戸籍謄本・戸籍抄本の交付請求 大阪市ホームページ
戸籍集めをスムーズに進めるためのポイント
戸籍の取得を郵送で行う際の注意点
戸籍を郵送で取得する場合、申請書の書き方や必要書類の不備による再提出が発生しやすいため注意が必要です。まず、申請書には被相続人の本籍地や筆頭者名を正確に記載しましょう。最終の住民票からも本籍地を確認できます。そして、転籍歴がある場合は順に請求先を変えていく必要があります。本人確認書類(運転免許証のコピーなど)と、返信用封筒には必ず切手を貼って同封してください。手数料は定額小為替で用意し、金額や宛先に間違いがないか確認しましょう。参考:「住民票・除票・改製原戸籍の取り方ガイド 証明書取得のコツと注意点」
市区町村役場の窓口利用のコツ
戸籍を取得するためには、まず必要な戸籍の本籍地を必ず確認しましょう。戸籍は「本籍地」でしか取得できないため、間違えて現在住んでいる場所など、別の役場に行ってしまうと無駄足になってしまいます。
次に、申請書類や本人確認書類(運転免許証など)を忘れず持参してください。窓口での待ち時間を短縮するため、事前に役場のホームページから申請書をダウンロードし、記入して持参すると便利です。もし複数の戸籍が必要な場合は、窓口で「この後どの戸籍が必要になるか」を職員に相談すると、まとめて案内してもらえることもあります。
専門家に依頼するメリット
上記のように案内をしましたが、戸籍の収集には専門的な知識や手続きの経験が必要な場面が多く、慣れていない方がご自身で進めると、思わぬ時間や手間がかかってしまうことも珍しくありません。特に被相続人の出生から死亡までの戸籍を漏れなく集めるには、複数の市区町村にまたがる請求や、古い戸籍の読み解きなど、専門的な対応が求められます。
例えば、転籍や改製原戸籍が絡む場合、どの役所にどの戸籍を請求すればよいか判断に迷うことも少なくありません。専門家に依頼すれば、こうした複雑な手続きを一括して任せられるため、スムーズかつ最短で戸籍を揃えやすくなります。
専門家に依頼することで得られる利点
専門家に依頼する最大の利点は、戸籍収集の手間と時間を大幅に減らせる点にあります。専門家は戸籍の流れや本籍地の移動履歴を素早く把握し、必要な戸籍を的確にリストアップできます。また、役所ごとに異なる書類や手続きの違いにも即座に対応できるため、書類の不備による再請求を防げるのもメリットです。
さらに、相続人の調査や遺産分割協議書の作成など、関連する手続きも一括でサポートしてもらえるため、精神的負担も軽減されます。
依頼する際の費用と手間の比較
専門家に依頼をする場合、当然に費用は発生いたしますが、その分手間や時間を大幅に減らせるという利点があります。行政書士などの専門家へ依頼すれば、複雑な作業をすべて代行してもらえるため、あなた自身が役所に何度も足を運ぶ必要がありません。費用の目安は、戸籍一通あたり数千円から一万円程度が一般的です。専門家に依頼をする際には、事前に目安となる費用を教えてもらえるため、まずは相談をしてみるとよいでしょう。
相続手続きに関するよくある質問と回答
戸籍謄本取得の手数料はどのくらいか
戸籍謄本を取得する際の手数料は、1通あたり450円が基本です。これは全国共通の金額で、どの市区町村役場で請求しても変わりません。ただし、戸籍の種類によっては料金が異なり、たとえば、除籍謄本や改製原戸籍は1通750円とやや高額になります。請求する通数が多いと費用の負担も大きくなるため、必要な戸籍を事前にリストアップし、無駄な請求を避けることが大切です。
また、郵送で請求する場合は、費用にプラスして手数料分の定額小為替を同封する必要があります。
戸籍の見方がわからない時の対応法
戸籍には家族構成や生年月日、婚姻や離婚の履歴などが順番に書かれていますが、一般的に慣れていない人にとっては内容を把握することが易しくないといえます。そんなときは、役所の窓口で職員に質問するのが最も確実な方法です。また、戸籍の用語や略語が難しい場合には、法務局や司法書士、行政書士などの専門家に相談するのも有効です。
まとめ:被相続人の戸籍を最短で集める方法と注意点
今回は、相続手続きをされる方に向けて、
- 被相続人の出生から死亡までの戸籍を集める手順
- 戸籍収集を効率よく進めるためのコツ
- よくある失敗や注意すべきポイント
上記について、解説いたしました。