建設キャリアアップシステムの未登録には、どのようなデメリットがあるのでしょうか?
当記事では、建設キャリアアップシステムの未登録が招くことについて詳しくまとめています。
【そもそも建設キャリアアップシステムとは?】
建設業技能者の知識と経験に基づき、賃金の支払い増加、処遇改善・生産性の向上を目的として、建設技能者本人の能力や実力、社会保険加入状況、研修歴、資格取得履歴などをまとめて管理するシステムです。
【導入理由】
建設技能者のコンプライアンス問題解決と、今後も技能者を適正に評価し、長期的に安心して仕事を続けてもらうことが導入の目的です。
本記事を一読し、将来的に必要となる可能性が高い「建設キャリアアップシステム」を学んでいきましょう。
建設キャリアアップシステムは任意登録
現状、建設キャリアアップシステムは任意登録になっています。
登録の手間や費用、そして登録期間が数ヶ月間掛かる等のデメリットもあるため、「任意登録なら後にしよう」と考えている方も多いのではないでしょうか。
しかし、今後は義務化される可能性が高く、外国人技能実習生を受け入れる場合は例外的に登録が必要となります。
「登録義務化・技能実習生受け入れ」について詳しくみていきましょう。
今後義務化される可能性が高い
建設キャリアアップシステムが義務化される可能性が高い理由は、「国土交通省の方針」が関係しています。
【国土交通省の方針】
- 令和2年度から本格実施に向けた運用通知や容量の改訂などを積極的に行っている
- 令和3年度からキャリアアップ建設システム(CCUS)を本格実施している
- 令和5年度に建設業退職金共済のキャリアアップ建設システム完全移行
以上のように、将来的に完全実施に向けて施策を講じています。
今後は未登録事業者へのデメリットが大きくなっていくことが予想されるため、早めの登録を推奨しています。
外国人技能実習生を受け入れる場合は登録が必要
外国人技能実習生を受け入れる場合には、建設キャリアアップシステムへの登録が必要です。
建設業における「外国人技能実習生」は、失踪者(行方不明)が非常に多く、早急な対策が求められる事態になっています。
日本国政府は、労働環境(給与変動・就労現場の管理)が問題であると考えており、キャリアアップシステムの登録を義務化することで、より適切な労働管理を行うことが重要だと判断しています。
そのため、外国人技能実習生を受け入れる際は登録が必要となっているのです。
登録しない5つのデメリットについて
建設キャリアアップシステムへの未登録が招くデメリットは、主に5つあります。
- 1.建設業界における経営事項の審査で加点してもらえない
- 2.公共工事を受けられない可能性がある
- 3.元請け業者からの仕事の優先順位が落ちる
- 4.事務作業負担が増える
- 5.長期雇用が実現しにくくなる
それぞれ解説していきます。
1.「経営事項審査」の加点項目に影響する
経営事項審査とは、業者の経営状況や規模について点数づけをして評価する審査です。
もし仮にキャリアアップ建設システムの登録を行っていない場合、経営事項審査における加点項目である「技術者レベルの4段階評価」が行えない状態になります。
点数を公募条件にしている案件も見られるため、基本的には加点項目を全て抑えておきたいところです。
2.「公共工事」の受注に影響する可能性
建設業者が公共工事を受注する場合、国が事業者選定の一つの基準として、建設キャリアアップシステムを導入している企業を優遇する傾向があります。
つまり、建設キャリアアップシステムに登録しているかどうかで会社の評価が上がり、公共工事の受注数や質に影響する可能性があるということです。
仕事を誰かに発注するのであれば、評価や信頼性が高い事業者を選定するという方針です。
3.「登録事業者から発注先を選ぶ」可能性
建設キャリアアップシステムへの登録は、国から元請け事業者への働きかけが大きな割合を占めています。
元請け事業者から発注先事業者への登録を推奨するパターンも多く、建設キャリアアップシステムを登録している会社へ発注先を切り替えるケースもあります。
事前に建設キャリアアップシステムを導入しておくことで、自社発注に切り替えて貰える可能性が高くなるので、早めに登録しておきましょう。
4.事務作業の負担
建設キャリアアップシステムを導入していないと事務作業の負担が多いです。
事務作業の負担割合が多い理由として、作業員名簿の作成や確認など複数回に渡って行う必要性がでてくるからです。
建設キャリアアップシステムを導入すると、システムで自動的に書類作成が行われますので、省人化や時間効率の向上、事務作業負担軽減に繋がります。
さらに建設キャリアアップシステムが義務化してから登録を行うと、登録までの期間が3ヶ月ほど期間を要することに。
加えて令和2年1月以降に外国人技能実習生の新規雇用が不可能になるので、早めに対応しておきましょう。
今後の事務作業者の負担軽減に加え、余裕を持って建設キャリアアップシステムに登録することで、スムーズな現場運営が可能となります。
5.長期雇用の実現
建設キャリアアップシステムは、技能者の評価を公平化するため、安定した長期雇用に繋がります。
不平不満が増えると同じ企業で働く意欲が低下するので、定性的な評価を見える化することで、長期雇用に向けた適切な人事評価を行える環境を構築します。
まとめ:建設キャリアアップシステムは登録推奨、後に義務化の動きも
今回は、建設キャリアップシステムについてご紹介しました。
建設キャリアアップシステムは今後義務化する可能性が高いので事前登録を推奨しています。
義務化発表後は駆け込み需要から、費用負担の増加や登録までに必要な期間が長引くことが予想されますので、なるべく義務化前に済ませておくようにしましょう。
もしも建設キャリアアップシステムについて不明点や疑問点などがあれば当行政書士にお気軽にお問い合わせください。